治療教育という道 その六

投稿日:2022年12月15日(木)

かつて、休日の診療所を開放して、 子どもらのためのプログラムを実施していた時期がある。
日曜日の演劇塾やお話の会に来ていた自閉症の子どもたちは 可愛いらしかった。
芸術によってこそ、神経系の不具合が調整できる と言う川手氏の年来の主張が 毎回明かされて
いくことを実感できたのは 私だけではなかったと思う。

お話や演劇の合間に、 「レントゲン室で遊びたい」と 驚くべき直球でおねだりしてきた 自閉症児たちを
全ての電源が切ってあることを確認してから 「入室許可〜!」して レントゲンごっこをした。
子どもたちにとって病院にある様々な設備、 道具や機器は、不可解でちょっと怖いものである反面 極めて
興味深いものであるらしい。 勿論普段は触れてはならないし 危険ですらあるけれど…

  1. 休日
  2. 家族と信頼関係があり、目の届く少数の子どもら
  3. 医師がしっかり横についている

という条件下であれば、 病院というミステリアスかつ科学的な空間で遊ばせることも 良いのではないだろうか?

川手氏は、そのような「ごっこ遊び」も 子どもにとって重要な藝術分野であり、 特に意志の働きを強めると
言われていた
その辺りの説明は川手氏に委ねるとして、 私も医師の家庭に生まれ、 父の背中を見て育ち、 医学の道に進んだ。

次世代の医療や教育、そして芸術を担う人材が 豊かに育っていくことを、切に願う。

冬の夜 診察室で 明日想う
冬の夜 波立つ心 医師の明日
冬の夜 明日なき医師の 気がかりよ
 
二○二二年十二月十五日
屋我地診療所所長
小野寺隆

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